つちうら総合会計月末サプリメント 6月号 発行人 税理士 社会保険労務士 林 敦子 |
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税務と労務の問題はクロスオーバーするものです。 中小企業の悩み解決をワンストップで対応します。
Q 震災で平成22年税制改正でどうなるの? A 震災の影響で税制改正については見直しされるものが多くなってきています。 ●復興資金のため中小企業のの法人税率18%から15%への引き下げは成立見込が厳しくなりました。 ●雇用促進税制は平成23年4月より人材を増加させた企業に平成23年度税制改正で雇用促進税制が新設されようとしています。(これもまだ確定されていません。 適用されたケースを紹介します) ◆適用要件 @青色申告書を提出する法人で、平成23 年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。 A公共職業安定所の長に、事業年度開始後2ヶ月以内に、雇用促進計画の届出を行う必要があります。 B雇用促進計画とは 当該事業年度末の従業員のうち雇用保険一般被保険者の数(パート・アルバイトも可)が前事業年度末に比して10%以上、かつ、5人以上(中小企業者等については、2人以上)増加させる計画です。 Cそして、事業年度終了後2ヶ月以内に公共職業安定所の長より雇用促進計画についての確認を受けます。 Dその他一定の要件が在りますが詳細は決まっていません。(平成23年3月15日現在)考えられる要件としては、会社都合での離職者がいないことや、給与総額が一定割合増加する等が考えられます。 ◆受けられる優遇措置 増加した雇用保険一般被保険者の数に20 万円を乗じた金額を、税額から控除できます。ただし、当期の法人税額の10%(中小企業者等については、20%)を限度とします。 ◆対応策 従業員20人以下の中小企業等においては、2人以上採用予定がある場合はとりあえず雇用促進計画を所轄の公共職業安定所に提出しておくことをお勧めします。 ●24年の所得税より給与所得控除に制限がかかります。(月平均125万の方より) 高額役員給与について(月平均167万)の方より一定額縮小される予定です。 ●24年以降役員で勤続5年以下の役員退職金については2分の1課税が廃止されます。(負担調整あり) ●24年以降の所得税25年以降の住民税より成年扶養控除(23歳以上70歳未満)を控除対象から除かれます。 ただし、扶養する人の合計所得金額が400万以下 成年扶養者が障害者等の場合は控除が受けられます。 ●平成24年10月より(個人は25年)よりその期間(期首から6カ月)の課税売上高または期首から6カ月の支払給与等が1000万を超えると翌年から消費税の課税事業者となります。 ●平成24年4月より課税売上割合が95%以上だと全額仕入れ税額控除の使える対象を課税売上高5億以下の事業者に限定します。 ●相続税の基礎控除の見直し 税率の見直し 現在まだ施行されていません。 遡及適用はないと思われます。 基礎控除を現行5000万+1000万×法定相続人から 3000万+600万×法定相続人 死亡保険金の非課税の対象者が相続人から 未成年者、障害者、相続開始直前に被相続人と生計同一にしていたものに 限定されます。
Q 新しい助成金について知りたい。 A 震災で職を失った方を対象に被災者雇用開発助成金が成立しました。 【対象事業主】 東日本大震災による被災離職者や被災地域に居住する求職者を、ハローワークなどの紹介により、 雇用保険の「一般被保険者」(継続して1年以上の雇用が見込まれる労働者)として雇い入れる事業主 【対象労働者】 次の1、2どちらかに該当する労働者が対象となります。 1.(1)から(3)の全てに該当する方 (1)東日本大震災発生時に被災地域(※1)で就業していた (2)震災後に離職し、その後安定した職業に就いていない (3)震災により離職を余儀なくされた 2.(1)(2)の全てに該当する方 (1)被災地域に居住する方(震災により被災地域外に住所または居所を変更している方を含み、震災の発生後に被災地域に居住することとなった方は除く) (2)震災後安定した職業に就いていない ※1 震災に際し、災害救助法が適用された市町村(東京都を除く) 【支給額と助成対象期間】 対象労働者に支払う賃金の一部として、 以下の金額を助成対象期(6ヶ月)ごとに支給します。 助成対象期間は1年です。 ↓ 大企業50万円、中小企業90万円 (短時間労働者(※2)は大企業30万円、中小企業60万円) ※2 短時間労働者とは、一週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者をいいます。 Q 震災で労災は使えるの? A 今回の震災で業務期間中の怪我、死亡は労災の対象となります。 特例として被災地は「事業主や医療機関の証明書がなくても受理。近くの労働基準監督署に問い合わせをしてください。 労災と認められるのは事業所、作業場の倒壊や水没、焼失で被災した場合や、避難中や救助中、通勤中に巻き込まれた場合休憩時間中も適用されます。 行方不明者については本来、不明になったときから1年後に死亡とみなされた場合に請求ができるが、今回は特例として3か月で死亡認定されます。 Q 震災で売上が減少して固定費である人件費、社会保険の負担が重い 解雇などリストラはできるのか A 会社が解散したり、壊滅的な損壊で事業の継続が認められないようなケースは、「天災事変その他やむを得ない事由のための解雇として労働基準監督署の解雇予告除外認定を受ければ解雇予告も手当も不要で解雇することができます。 ただし、単なる売上不振、人件費負担が重いだけでたとえパート、有期契約社員といえども解雇をすることは、解雇権の濫用規定に抵触する可能性が高いです。 最大限の配慮をしてもなお人材のリストラをしなくてはならない場合は以下の整理解雇の4要件について総合勘案して判断します。 1 人員整理の必要性 2 解雇回避努力 3 適正な手続き(従業員への説明) 4 人選の合理性 |
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