医療法制度改革関連法により、一般病床数を90万床から60万床に減少数値が掲げられたほか、看護職員の一人あたりの平均夜勤時間を72時間以下にするように急性期病床は厳しい条件が出されています。
病院施設基準改訂の影響もあり、どこの医療機関も看護師は常に不足している状態であり、労働市場も典型的な売り手市場です。
医療行為といえども、実際に不安を抱える患者さんに接しているのは人であり、質のいい人材をとるかとらないかは医院にとって死活問題ともいえるほど重要なことです。
地域に根ざした開業医の場合はなおさらスタッフの対応一つでその医院の評判が決まってしまいます。
患者さんの口コミは、いい評判はじわじわ広がりますが、悪い評判はあっという間に伝わります。
また、患者のファーストコンタクトとなる受付担当者の対応は医院の収入に大きな影響を与えます。
通常の店舗なのでもそうなのですが、スタッフの何気ない行動、イメージで医院全体のイメージが作られてしまうものです。
採用→スタッフ教育→従業員管理の流れで、まず院長様の病院の経営理念を浸透してもらい良好なコミにネーションのある人材(人財)を育てましょう
【スタッフの採用】
■スタッフの採用は、有料求人広告、ハローワークなどの職業紹介事業等あります。
募集に当たっては、、委細面談などとせず、しっかりと労働条件、給与基準は明記したほうがよいでしょう。
法律上も労働者が従事すべき業務の内容および賃金、労働時間その他労働の条件を明示しなければならない(職業安定法第5条3第2項)にあります。
よくあるトラブルが求人広告と実際の労働条件が異なるケースです。
虚偽の広告、条件を提示した場合職業安定法により6月以下の懲役または罰金刑となっています。
良い人材の採用のための面接および試用期間中★注の判断は次のようなことがポイントになるでしょう
★(労働基準法上の解雇予告を必要としない試用期間は2週間です。通常は3ヶ月ほどの試用期間をもうけるところが多いです。
3か月から6か月の契約社員形態を取り、問題のない社員でしたら正規雇用にすると雇用リスクを抑えることができます。
○履歴書の職歴(短期間に転職を繰り返していないか)
前職の退職理由を必ず聞き、少しでも不審な点があれば確かめる
○前職をやめた理由
○協調性、コミニケーション能力 人として一緒に働きたいと思わせるか
○基本的マナー、常識、勤勉さ、清潔感など
○勤労意欲
○経験、資格、能力
■雇用保険被保険者資格取得届をハローワークに提出
社会保険資格取得届出を社会保険事務所に提出(常時5人以上従事する者がいる個人または医療法人)
従来より医師国保及び歯科医師国保に加入していた場合は除外申請を出すことにより医師国保継続が可能です。
給与取得者の扶養控除等申告書を提出してもらう。
採用時には雇用契約書を交わし、労働条件通知書を文書で提示することが望ましいでしょう。
勤務して初めて能力、適正もわかるケースも多いため試用期間を契約社員化するのも一つの方法です。
契約社員の正社員化はお互いの適正を把握でき、労務リスクを抑え、キャリアアップ助成金などの国の助成も使えます。
最近はネット等により権利意識のみが発達した労働者も多くなっており労務トラブルは年々増加しています。労働基準監督署はては労働局などに訴える労働者が後を絶ちません。
特に不当解雇等とされると医院にとってもダメージが大きいためあらかじめ就業規則等の整備をお勧めします。
【スタッフ教育】
■スタッフの教育はまず、院長の経営方針を理解し、定期的なスタッフミーティングにおいて現状での問題点、改良点の話し合いの場を持つことが肝心です。
また、地域において口コミや最初の対応が一番の広告となる医院においては、受付やスタッフなどのファーストコンタクトの対応により医院の全体のイメージが作られてしまう傾向にあります。
何となく受付の感じが悪い 掃除、整理が行き届いていないなど感じ他の医院と比べている者なのです。
一方何気ないワンモアサービス、笑顔、気の利く対応、などは小さな差異かもしれませんが特に高齢化社会で高齢者の患者にとって影響が大きいものです。
また患者から見るとマイナスイメージの大きい医院内での無駄話、叱責、などもタブーです。
ミスや無駄を防ぐため、業務内容はなるべく標準化し、情報、技術を共有できる組織化を目指すことが合理化につながります。
応対マニュアルの作成
診療看護マニュアルの作成
部署別目標管理制度の作成
またスタッフ教育はオン ザ ジョブトレーニングとオフ ザ ジョブトレーニングがあります。 前者は職場で先輩などから仕事を受けながら教育を受けるものです。
後者は外部の教育機関のセミナーを受けさせる。資格を取る勉強の補助などです。 自分の能力を高めさせてくれるような医院は、スタッフの能力および定着率の向上に大きく関与します。
大卒新卒が90万ともいわれる現在 大企業、公務員がほとんど優秀な人材を採用してしまいます。
そんな中良い人材を採用するためには、ほかにないメリットを打ち出すことが肝心です。
教育制度
資格取得応援制度
育児介護休暇制度の推進
キャリアアップ制度
賞与を3回にし、1回は完全能力性とするなど
【従業員管理】
■モーチベーションの上がり定着率の向上する賃金体系制度の構築
患者様に満足感を与えるにはまず職員に満足のいく就業環境を整備してあげることが肝心です。
スタッフの士気の上がる仕組み→従業員満足→サービス向上→患者満足→増患・固定化につながります。
また離職率が下がることにより、経験曲線効果が上がり、より良いサービス、品質が生み出される好循環が生まれます。
逆のパターン スタッフのやる気がない→従業員不満足→サービスレベル低下→離職 採用教育コストが気泡の泡→スタッフ定着しない 離職→患者不信→患者不満足→減収
従業員の士気を高めるには、報酬、期待、フィードバックといった企業が与える誘因以外に
従業員自身が内発的に動機付けられる要素があります。
仕事そのものに有意義感を感じさせ、責任の実感、結果についての理解を持たせることが肝心です。
職場リーダー制度や役割分担の明確化、公平公正な評価制度 結果に見合う報酬制度の導入などで
以下の職務特性を意識していくとよいでしょう。
〇多様性 仕事の中で作業する人に必要とされる操作の多さや幅の大きさで仕事多様性があること(単調な仕事の繰り返しはモチベーションが下がる 目標管理制度 スキルによる昇格制度 キャリアパス制度の導入))
〇タスクアイデンティティ 作業する従業員自らの仕事の全体を見通し、その全体を遂行でき、彼らの努力を識別できる (作業の明確化それによりどのような効果があるかが把握できる)
〇有意性 他社に対し、意味のある仕事をしている (人に感謝されたり、周りの人に役立っているという感触 ありがとうカードなどの導入)
〇自律性 作業をする人が計画を立てたり、道具や方法を選択したり、手続きを決定する際に対し、自分の意見を反映できるかどうか (提案制度の導入)
〇フィードバック どのようにすればどのようになるかについて、仕事そのものから有意義な情報が得られる程度であること(定期的な面談 仕事に対する意識アンケート)
また労働基準法に定められている労働条件のほか、自院独自の経営方針を定めた就業規則を作り、従業員の賃金、福利厚生その他就業にかかわるルールつくりをすることが望ましいでしょう。
従業員の不満は
職員が、いくらがんばっても評価されない。
賃金体系がよくわからない
退職金は出るのかしら
管理職の手当てが少ない
スタッフの声が病院に反映されない。
お客様の声が病院のスタッフに反映されない。
これらの対策案として
○医業においては、まだまだ従来の年功序列的な要素が大きいです。
通常の会社のように数字で営業成績など定められないのですがある程度能力主義、成果主義的な要素を加えた賃金体系、キャリアコースを整備することがこれからは求められる時代です。
(ただしあまり成果主義に傾きすぎると個人主義的になり、協働意識や、教育、助け合いの意識が薄れる可能性があります)
○中小企業退職金共済制度などによる、能力地位に応じた退職金プランニング
○また、従業員別に目標管理制度をひき、ある程度の目標管理および成果の検証による評価制度を設ける。
○従業員職務提案制度をもうけ、経費削減など自分たちの範囲で合理化できるアイデアや、患者増患のためのアイデアを出してもらう。
○患者様アンケートを実施し、スタッフの応対、その他の教育評価に結びつける
従業員の士気満足度を上げる →良い接遇対応→患者満足→口コミ、増患につながります。
〇リーダー制度 サブリーダー制度 資格、経験により権限移譲
〇能力開発、教育研修制度の充実
〇上司からの定期的な面談(職員と公式会話だけでなく内的集団になれるよう関係性を構築することが定着率の向上につながります。)
〇単純な作業から多様性のある仕事 自律的に最後まで仕事が完結できること その結果フィードバックが得られることなど達成感や責任感を植えつけられるような仕事を与えること
〇公平、公正な評価、報酬制度
〇電子カルテなど医療のICT化によりスタッフの負荷軽減、生産性向上 情報共有制度
■現物給与とならない長く勤められ費用となる福利厚生プランの実現
○慰安旅行 四泊五日以内 半数以上参加 不参加者にお金を支給しない
○食事代 半額以上従業員負担病院負担3500円以内現物支給
○看護師、医師等社宅で一定要件にあてはまるもの
○永年勤続表彰 10年以上 5年間隔
○創業記念品 5年以上感覚 処分価格1万円以下
○出張旅費規程の作成
○制服 靴などの現物支給
○大学 高等専門学校以外の学資、資格取得費で職務の遂行上必要なものの援助
○スタッフ家族の診察料金自己負担分免除
○通常の職務の範囲外の提案報奨金
○スポーツクラブ会員
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■医療法人なりの場合の社会保険手続き
医療法人になると協会けんぽと厚生年金の組み合わせが原則となりますが、個人事業の時代から、医師国保、歯科医師国保に加入されていた場合は
引き続き医師国保、歯科医師国保への加入継続が可能です。
この場合の手続きの仕方 法人登記簿謄本写し 法人事業所名称変更届
医師国保にあらかじめ医療法人なりの連絡をし、資格取得届 適用除外申請書を組合提出
↓
理事印押印した適用所芸承認申請書を医療法人へ返送
↓
年金事務所にて適用除外の承認申請 厚生年金の新規適用届(年金事務所へ)
↓
年金事務所からの適用除外承認申請書写しを組合へ提出
↓
医師国保組合が被保険者証を医療法人へ交付
14日以内に処理 遅れる場合はやむをえない理由書も提出
雇用保険の場合は「雇用保険各種変更届」労働保険は「名称所在地変更届」を登記簿謄本をつけて
提出
無断転載を禁止します。 |
〒300-0835
茨城県土浦市大岩田931-13
TEL 029-886-4388
FAX 029-886-4389
税理士・社労士・行政書士 林敦子
TKC全国会医業・会計システム研究会会員
TKC全国会社会福祉法人経営研究会会員
経済産業省認定中小企業経営革新支援機関
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