開業後の届出・法令遵守

許可を取得した後も、継続的に届出義務と法令遵守が求められます。
巡回指導や監査で指摘されやすいポイントを押さえましょう。

許可取得後に必要な届出

許可書を受領した後も、事業開始までにいくつかの届出が必要です。

📝 許可後~事業開始までの手続き

1

運行管理者・整備管理者の選任届

許可後すみやかに、運行管理者と整備管理者の選任届を管轄の運輸支局に提出します。届出なく事業を開始すると行政処分の対象となります。

2

運賃料金設定届

運賃・料金を設定し、届出を行います。令和6年3月に改定された「標準的運賃」を参考にして設定することが推奨されています。

3

事業用自動車の登録(緑ナンバー取得)

事業用自動車等連絡書を取得し、陸運局で車両を事業用ナンバー(緑ナンバー)に変更登録します。

4

社会保険・労働保険の加入手続き

従業員(ドライバー含む)を雇用したら、健康保険・厚生年金保険の加入届、労働保険の成立届を提出します。

5

運輸開始届の提出

実際に事業を開始したら、30日以内に「運輸開始届」を運輸支局へ提出します。なお、事業開始は許可後1年以内に行う必要があります。

巡回指導と行政監査

開業後は適正化事業実施機関による巡回指導と、運輸局による行政監査の対象となります。

🔎 巡回指導について

各都道府県のトラック協会(適正化事業実施機関)が、営業所を訪問して法令遵守の状況をチェックします。新規許可事業者は、運輸開始届の提出後おおむね3か月以内に初回の巡回指導が実施されます。

主なチェック項目

分類 チェック内容
事業計画届出どおりの営業所・車庫・車両台数で運営されているか
帳票類運転日報、点呼記録簿、運行指示書、乗務記録等が適切に作成・保存されているか
運行管理運行管理者の選任・届出が適正か、点呼が確実に実施されているか
車両管理整備管理者の選任・届出が適正か、定期点検整備が実施されているか
労務管理改善基準告示を遵守した運行がなされているか
保険加入自賠責保険・任意保険への加入状況
社会保険健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険への加入状況
評価が悪い場合:巡回指導で「不適切」と判定された事項は、改善報告書を提出する必要があります。改善がなされない場合や、重大な違反が認められた場合には、運輸局による行政監査に移行する可能性があります。

⚠ 行政監査・行政処分について

運輸局が直接実施する行政監査は、巡回指導よりも厳格な検査です。重大事故の発生時、法令違反の通報時、巡回指導の評価が著しく悪い場合などに実施されます。

違反が認められた場合の行政処分には、文書警告、自動車の使用停止処分、事業停止処分、許可取消処分などがあります。特に2024年以降は処分基準が強化されており、改善基準告示違反に対する処分が厳格化されています。

日常の運行管理で押さえるべきポイント

日々の業務で確実に実施すべき法令上の義務をまとめます。

点呼の実施

乗務前と乗務後に、運行管理者(または補助者)による対面点呼を実施してください。酒気帯びの有無、疾病・疲労・睡眠不足の状況、日常点検の結果などを確認し、記録簿に記載します。遠隔地でやむを得ない場合は電話等による点呼も認められます。

📋

運転日報の作成

ドライバーごとに運転日報を作成し、1年間保存する義務があります。乗務の開始・終了の日時・場所、走行距離、休憩時間、荷主名、貨物の積載状況などを記載します。

🔧

日常点検と定期点検

ドライバーは運行前に日常点検を実施します。タイヤの空気圧や溝の深さ、ブレーキの効き、灯火装置の動作などを確認してください。整備管理者は3か月ごとの定期点検整備を管理します。

🕒

運行記録計の装着

車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上のトラックには、運行記録計(タコグラフ)の装着が義務付けられています。デジタル式の導入も進んでいます。

📜

事故報告

重大事故(死亡事故、重傷事故等)が発生した場合は、24時間以内に運輸支局へ速報し、30日以内に自動車事故報告書を提出する義務があります。

💻

事業報告書・実績報告書

毎年度、事業報告書(決算後100日以内)と事業実績報告書(7月10日まで)を運輸支局へ提出する義務があります。提出を怠ると行政処分の対象となります。

Gマーク(安全性優良事業所認定)

法令遵守を超えて、安全性の高い事業所であることを認証する制度です。

🏆 Gマーク制度の概要

Gマーク制度は、全日本トラック協会が実施する「貨物自動車運送事業安全性評価事業」です。安全性に優れた事業所を認定し、荷主や一般の方が安心して利用できるトラック事業者を選べるようにする制度です。

認定のメリット

  • 荷主企業からの信頼性が向上し、受注機会が増加します。
  • 自動車保険料や高速道路料金の割引が受けられる場合があります。
  • 巡回指導の頻度が優遇されます(通常2年に1回が4年に1回に)。
  • 違反点数の消去や行政処分の軽減措置が適用されます。
  • 助成金の優遇対象となる場合があります。

認定の評価基準(38項目・100点満点)

評価テーマ 内容 配点
安全性に対する法令遵守状況運行管理体制、車両管理、労務管理等の法令遵守40点
事故や違反の状況事故件数、行政処分の有無、改善基準告示の遵守40点
安全性に対する取組の積極性安全教育、デジタコ導入、ドラレコ設置、Gマーク自認等20点

80点以上で認定されます。認定の有効期間は初回2年、更新後は4年です。

当事務所のサポート:Gマーク取得に向けた帳票類の整備、安全教育計画の策定、申請書類の作成をお手伝いいたします。

事業内容に変更があった場合の届出

事業内容を変更した場合は、速やかに届出(事前届出または事後届出)が必要です。

📝 主な変更届出一覧

変更内容 届出種別 届出期限
営業所の新設・移転・廃止事業計画変更認可申請事前(認可後に変更)
車庫の新設・移転・変更事業計画変更認可申請事前(認可後に変更)
車両の増減車事業計画変更届出事前届出
運行管理者の変更選任届出変更後15日以内
整備管理者の変更選任届出変更後15日以内
役員の変更(法人)届出変更後30日以内
商号・名称の変更届出変更後30日以内
利用運送の開始認可申請事前(認可後に開始)
ご注意:届出を怠ったまま変更を行った場合、行政処分の対象となります。変更予定がある場合は事前にご相談ください。

法令遵守・巡回指導対策のご相談

「巡回指導の通知が届いた」「帳票類の整備が追いつかない」など、
お困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。

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