■ 試験概要
資格の種類 通関士 国家資格 国が認める貿易関係の唯一の資格
主管官庁 財務省(各地の税関が実施 私は東京税関)
受験資格 特になし
試験日程 10月上旬 受験申込は7/22~8/5(令和7年度)合格発表 11月11日 秋本番一本勝負

試験科目は次の3科目です。

  1. 通関業法
  2. 関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(第6章部分)
  3. 通関書類の作成要領その他通関手続の実務

試験時間は、

  • 通関業法:9:30~10:20
  • 関税法等:11:00~12:40
  • 通関実務:13:50~15:30
合格率 10%台前半 年によって推移 
難易度 通関実務などを実務要件で免除されている場合は簡単だが免除ないと難関試験 一部免除制度では、通関業務や官庁での関税・通関事務の従事期間に応じて、1科目または2科目免除があり得ます。5年以上で1科目免除、15年以上で2科目免除の制度が案内されています。

難易度が高い理由は、単純です。
第一に、法令知識の範囲が広いことです。
第二に、通関実務で計算・分類・申告書作成まで問われることです。
第三に、1科目でも基準未達だと不合格になりやすい構造だからです。各科目60%以上が必要なので、得意科目で大きく稼いでも、苦手科目を放置すると落ちやすい試験です。

ですので、通関士試験は「満遍なく7割近くを狙う試験」であり、「一部だけ突出しても受かりにくい試験」と言えます。これは税理士や診断士のような科目合格型とは、かなり性格が違います。

資格の活かし方

通関業者に所属して、輸出入手続の専門家として通関書類の審査・申告・説明代行を行う仕事です。厚労省の職業情報では、輸出入者から書類を受け取り、必要な法令確認を行い、税番・税率や課税価格の適否を確認し、申告書を作成して税関に申告する仕事とされています。また、税関の審査や検査に対して説明したり、分類・評価申告の指導を行う業務も含まれます。通関業者には営業所ごとに通関士の配置が求められます。

したがって、資格の活かし方は大きく分けて次の4方向です。
1. 通関業者・フォワーダーでの専門職
最も王道です。輸出入申告、税番判定、関税計算、税関対応など、資格がそのまま仕事に直結します。 通関業者になるまたは雇われないと通関士として登録できません。
2. メーカー・商社の貿易実務部門

社内で輸出入管理、外為法対応、インボイス・パッキングリストの整備、委託先通関業者とのやり取りに強くなれます。通関士資格があると、現場理解の深さを示しやすいです。
3. 物流・国際輸送・倉庫業でのキャリア形成

保税、通関、配送手配、輸送スケジュール調整まで含めて、国際物流の全体像を理解した人材として価値が高まります。
4. 独立した強みとしての活用

資格単独で独立するというより、貿易・物流・国際業務の専門性を証明する武器として強いです。特に、他資格や実務経験と組み合わせると非常に有効です。

■ 試験科目
通関業法

この科目では、通関業者の許可、通関士の確認、営業所、業務範囲、義務、監督、懲戒など、通関業制度の基本ルールが問われます。出題は選択式35点、択一式10点で、比較的「条文の基本構造」がそのまま出やすい科目です。

この科目の本質は、細かい暗記よりも、

  • 誰に義務があるのか
  • 何をしなければならないのか
  • どんな場合に許可・確認・処分が問題になるのか
    を整理して理解することです。

攻略ポイント

通関業法は、3科目の中では比較的得点源にしやすいです。したがって、ここで安定して7割から8割を確保できると全体がかなり楽になります。条文の丸暗記だけではなく、制度の流れを図式で整理するのが効果的です。

関税法等

 この科目は、通関士試験の法律科目の中核です。関税法、関税定率法、関税暫定措置法、NACCS法などに加え、外為法の第6章部分が出題範囲に入ります。出題は選択式45点、択一式15点です。なお、出題範囲は令和7年7月1日現在で施行されている法令等とされています。 近年この科目が一番難しくなってきています。
マークシート形式ですが社労士のように択一でなく 複数正解や正解0もあるので単なる暗記 一筋縄ではいきません。

この科目では、

  • 輸出入申告
  • 許可・承認
  • 保税
  • 納税、減免、還付
  • 不服申立て
  • 関税率の考え方
    など、通関の全体制度が広く問われます。

攻略ポイント

関税法等は、範囲が広く、学習途中で「終わらない」と感じやすい科目です。ここで大切なのは、最初から完璧を目指さないことです。
まずは、

  1. 輸出
  2. 輸入
  3. 保税
  4. 納税・不服申立て
    という大きな流れで骨格をつかみます。
    その後に、例外や期限、金額基準、手続差異を上塗りしていくと、記憶が崩れにくなります。
通関実務

ここが、多くの受験生にとって最大の山場です。通関実務では、

  • 通関書類の作成
  • 関税計算
  • 課税価格
  • 品目分類
  • 実務知識
    が問われます。配点は、通関書類作成20点、その他通関手続の実務が選択式10点・択一式5点・計算等10点です。

この科目が難しいのは、知識だけでなく処理能力も必要だからです。特に、

  • 関税率表の使い方
  • 課税価格の計算(計算能力必要です。電卓計算の速さも必須 消費税の計算もあります)
  • インボイスを見て必要事項を拾う力(英語力あると有利)
  • NACCS形式への慣れ
    が必要になります。

攻略ポイント

この科目は、読んで理解しただけでは伸びません。手を動かして、毎週問題を解くことが絶対条件です。
通関実務で大事なのは、

  • 計算問題の型を覚える
  • 品目分類の考え方を覚える
  • 申告書作成の手順を体で覚える
    ことです。

つまり、実務は「暗記科目」ではなく、反復訓練科目です。

■ 学習戦略・勉強法
学習期間の目安 初学者 400-600時間 実務経験のない人は最低400時間は必要 受けてみないとわからない法令理解と実務演習に時間がどうしても必要
1日の学習時間 6か月で合格したいなら3時間目安
おすすめ教材 LEC 市販本 ゼロからの申告書(日本関税協会)  通関士試験の指針(日本関税協会)通関士完全攻略ガイド(ヒューマンアカデミー)
独学 vs 予備校 独学でも上記の市販本で受かることもできるが予備校通信のほうが近道 簡単だと軽い気持ちで勉強すると心折れる(特に実務と関税法)
予備校は最初フォーサイト通信を申し込んだが内容が薄く、LEC直前で実力がついた。
科目別の攻略ポイント

ここからが最重要です。通関士試験は、単に教材を1周すれば受かる試験ではありません。合格する人は、だいたい次の順で進めています。

第1段階 全体像をつかむ

最初に、3科目の位置づけを理解します。

  • 通関業法=制度の基本
  • 関税法等=法体系の本体
  • 通関実務=得点差がつく実戦科目

これを理解せずに学習を始めると、どこに時間をかけるべきかが見えません。

第2段階 通関業法と関税法等で土台を作る

先に法律科目を整えると、実務の理解が速くなります。実務は、法律のルールがわからないと問題文の意味が読み取りにくいからです。
したがって、序盤は通関業法と関税法等を優先し、その後に通関実務を本格化させるのが効率的です。

第3段階 通関実務を毎週やる

通関実務は後回しにしすぎると危険です。法律科目をある程度進めたら、並行して毎週やる必要があります。
特に、

  • 計算
  • 品目分類
  • 申告書作成
    は、週単位で継続しないと鈍ります。

第4段階 過去問中心に切り替える

8月以降は、インプットより本試験形式への適応が重要です。時間配分、失点パターン、頻出論点を確認しながら、過去問と予想問題で仕上げます。
王道の勉強法

一番成功しやすいのは、次の流れです。

  1. テキストで理解する
  2. すぐに分野別問題を解く
  3. 間違えた部分をテキストに戻す
  4. 1週間後に同じ問題を解き直す
  5. 直前期は年度別過去問に移る

この方法が強いのは、「読んだつもり」を防げるからです。
科目別の勉強法
通関業法

条文の意味をつかみながら、比較表で整理します。
たとえば、許可・確認・届出・処分を並べて整理すると、混乱が減ります。
関税法等

最初は細部より、輸出入の流れに沿って理解します。
制度の前後関係を押さえたうえで、細かな要件を覚えると定着します。

通関実務

読む時間より、解く時間を増やすべき科目です。
計算は途中式を省かず、分類は理由を言葉で説明できるようにし、申告書作成は「なぜその欄にその数字を入れるのか」を理解します。

■ 他資格との関連・ダブル受験
税理士との関連 直接的な関係はありません。同じ財務省管轄 税務署と税関は兄弟のような存在かと思いますが、あまり昔から交流などなかったようです。最近は消費税の不正還付などで情報を交換しているようです。 関税の計算 消費税の計算は税理士試験とは異なる視点からでしたが同じく税法の計算なのでとっつきやすかったです。 通関士試験本番では消費税の計算を間違えてしまいましたが(だってこちらのほうが難しい)
社労士との関連 直接的な関係はありません 試験範囲も全くかぶりません
診断士との関連 直接的な関係はありません。 経営法務で1問ぐらいインコタームズ(FOB CIFなど)が出る程度です。
行政書士との関連 私はこの資格の後貿易実務に深く興味あったので貿易実務検定を受け合格しました。
通関士の知識×行政書士で運送業でコンテナや港湾もやるお客様がいる場合はもしかしたら強味になるかもしれません。
行政書士で運送業許可がやれる人は非常に少ないためここは狙い処だと思います。
通関士は国が認める貿易関連の唯一の国家資格のためです。
■ 著者コメント・体験談

 私はすでに令和4年 2022年第56回通関士試験に合格していますが、振り返って感じるのは、通関士試験は単なる暗記試験ではなく、法律と実務をつなげて理解できるかが問われる試験だということです。特に学習初期は、関税法等の範囲の広さと、通関実務の難しさに圧倒されました。
数少ない合格者が官報に載る国家資格 税理士も通関士もその後名前は載らなくなりました。
 なぜ通関士試験を目指したかというと税理士・社労士・行政書士として20年安定した運営を行っており、資格試験については同じぐらいご無沙汰でした。
通関士試験前に行政書士の取次のため講義をし取次資格者となったためまた最後に他の資格取得を始めたいとふと考えたからです。
税理士試験や社労士試験から四半世紀以上過ぎての挑戦であったため不安もありましたが、最初に勤めた会社が商船三井という船会社であり、B/Lセクションで船荷証券、LI
乙仲、、等々と仕事をした経験がありました。貿易関係に深い興味があったのも理由です。 現在の顧客でも輸出輸入を実施している顧客や乙仲業者もあり勉強をしておいて損はないかと思いました。 実務に生かせるかというと微妙ですが(通関業者勤務でないと資格登録できない)合格後通関士の方がパートで応募に来てくれたこともありました。
 同時に昔ととった宅建士の資格も実務補修からやり直して千葉県登録までできました。

 通関士試験は思いついたのは年明けぐらいでしたが、税理士業務繁忙期に入り1月~5月までは殆ど時間が取れませんでした。 6月から本格的に勉強しはじめました。
勉強時間は常に朝一 早朝 一日2時間程 通関実務が肝なのでなるべく朝にそれをやり 関税法は細切れ時間を生かし地道に覚え、早めに問題に取り組むようにしました。
フォーサイトの内容が薄くLECの直前講座(社労士もそう)に申し込んでから通関実務が霧が晴れるように理解が進みました。簡単だと思う人がいれば一度チャレンジしてみてください。意外と同じマークシート形式の社労士は受かってもこちらは受からない人が多いと思います。(暗記だけではたちうちできない 計算能力が必要 資格の性質が違う)
 模試は関税協会の模試を自宅で受けました。 順位は一桁になりましたので自信がつきました。
 本番は東京大学教養学部でした。初めて東大の中に入りさすが財務省良いところでやるなぁと
通関実務や関税法で余裕をかまし途中退出しましたが、通関実務は難しかったです。苦手の靴や布関係が出なくてよかったです。

 実際に勉強を進める中で効果的だったのは、最初から細部を追いかけるのではなく、まず試験全体の構造を理解したうえで、通関業法と関税法等で土台を作り、その後に通関実務を反復する方法でした。通関実務は、読んで理解するだけでは得点につながらず、計算や申告書作成を繰り返し練習して、はじめて点数が安定してきました。

また、過去問演習を通じて、通関士試験では「知っているか」だけではなく、「限られた時間の中で正確に処理できるか」が非常に大切だと実感しました。特に本試験直前期は、新しいことに手を広げるよりも、今まで間違えた論点を繰り返し見直すことが、合格には有効だったと感じています。

 一番苦労したのはやはり通関実務です。英語がわかると少しアドバンテージがあるかもしれません。 NACCS形式で本当に実務に直結した実務的な内容なため繰り返し問題を解かないとなかなか点数が伸びないし、多くの実務未経験者が関門と認識するところです。

合格後に振り返ると、通関士試験は、輸出入実務や国際物流の現場で非常に役立つ知識が身につく試験です。単に資格を取るだけでなく、通関手続の流れ、税関とのやり取り、申告の考え方まで理解できたことは、大きな財産だったと思います。

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