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運送業 監査対策ガイド

運輸局監査・トラック協会巡回指導38項目+Gマーク取得に完全対応/令和6年10月行政処分強化版

令和6年10月1日からの重要変更:自動車運送業の行政処分基準が大幅に強化されました。点呼未実施・指導監督義務違反の処分日車数が引き上げられ、酒酔い運転は初違反でも100日車、再違反で200日車の重い処分が科されます。日頃の備えが、これまで以上に重要です。

① 監査と巡回指導の違い

運送事業者を対象とする「監査」と「巡回指導」は、よく混同されますが、実施主体も法的拘束力も異なります。まずこの違いを正しく理解しておくことが、適切な対応の第一歩になります。

項目巡回指導監査
実施機関各都道府県トラック協会(適正化事業実施機関)運輸支局・運輸局(行政機関)
法的位置づけ指導(処分権限なし)行政処分の前提となる調査
実施頻度原則2〜3年に1回事故・違反・通報があった場合
事前通知あり(約1か月前)原則なし(特別監査・呼出監査を除く)
評価38項目A〜E評価違反点数加算・処分
結果の影響D・E評価→運輸局へ通報→監査の対象に車両停止・事業停止・許可取消
ポイント:巡回指導でE評価を受けると、適正化事業実施機関から運輸支局へ通報され、運輸局による「監査」の対象となります。巡回指導の段階できちんと対応しておくことが、監査回避の最大の対策です。

② 運輸局監査の3種類

運輸局が実施する監査には大きく3つの種類があります。それぞれ発動条件と調査の深さが異なります。

1

特別監査

重大事故・死亡事故・悪質違反の疑いがある場合に実施。全般的な法令遵守状況を徹底的に調査します。

2

一般監査

監査端緒(通報・苦情・巡回指導D・E評価など)に応じて重点事項を定めて実施します。

3

街頭監査

運輸局職員が街頭で事業用車両を停止させ、その場で運行記録や運転者の状態を確認します。

監査が入る主な端緒(きっかけ)

端緒説明
重大事故死亡事故・重傷者2名以上・10台以上の多重事故・社会的影響の大きい事故
巡回指導D・E評価トラック協会から運輸支局へ通報されたもの
労基署からの通報長時間労働・賃金未払い・36協定違反など
従業員・取引先からの通報過積載・酒気帯び・帳簿改ざんなど
定期監査新規許可後3年以内に1回など
無申告・脱税疑い税務署・国税局との連携監査

③ 38項目チェックシート

トラック協会の巡回指導で確認される38項目です。「★重点項目」9項目は1つでも不適となると総合評価が1段階下がります。下のチェックボックスにチェックを入れて、自社の現状をご確認ください。

チェック進捗:0 / 38

カテゴリA:事業計画等(4項目)

カテゴリB:運送約款・運賃料金等(3項目)

カテゴリC:運行管理(11項目)

カテゴリD:運転者の指導監督・教育(5項目)

カテゴリE:整備管理(4項目)

カテゴリF:労働関係(8項目)

カテゴリG:法定報告等(3項目)

④ 監査当日に準備すべき書類一覧

監査・巡回指導の当日にすぐ提示できるよう、次の書類を整理して保管しておくことをおすすめします。提示できないと「書類なし」として不適評価となります。

A. 事業計画関係(許認可書類)

書類名保存期間備考
一般貨物自動車運送事業 経営許可書永年原本必須
事業計画変更認可申請書・届出書永年営業所・車庫・車両数変更の都度
運送約款永年営業所への掲示も必要
運賃料金表(届出済み)永年標準的な運賃の届出書も
登記事項証明書(履歴事項全部証明書)最新版役員変更の都度更新

B. 運行管理関係

書類名保存期間備考
運行管理者選任届(控)永年運行管理者資格者証も
運行管理規程永年営業所ごとに整備
点呼記録簿(乗務前・乗務後・中間)1年間★最頻出指摘項目
アルコール検知器使用記録1年間機器の保守記録も必要
運転日報1年間運転者ごと毎日
運行指示書1年間2泊3日以上等の場合
運行記録計(タコグラフ)記録1年間デジタコ・チャート紙
事故記録簿3年間軽微な事故も含む
運転者台帳(運転免許証写し含む)退職後3年更新時の差替えも
運行管理者一般講習・基礎講習修了証永年2年に1回受講

C. 整備管理関係

書類名保存期間備考
整備管理者選任届(控)永年整備管理者資格証明も
整備管理規程永年営業所ごと
日常点検記録簿1年間運行前点検
3か月定期点検整備記録簿1年間使用本拠地で実施
車検証・自動車検査証有効期限まで車両ごと
自賠責保険証明書有効期限まで車両に常時備付け

D. 運転者教育関係

書類名保存期間備考
年間指導監督計画書3年間12項目の実施計画
指導監督実施記録(12項目)3年間★重点項目
初任運転者特別指導記録3年間座学6h以上+実技15h以上
高齢運転者特別指導記録3年間65歳以上
事故惹起運転者特別指導記録3年間事故後カウンセリング含む
適性診断結果(初任・適齢・特定)3年間NASVAなどで受診

E. 労務関係(社会保険労務士の管轄)

書類名保存期間備考
労働者名簿退職後3年労基法107条
賃金台帳3年間残業時間・歩合給の根拠も
出勤簿・タイムカード3年間運転日報との整合性チェック
就業規則(労基署届出済)永年10人以上の事業場
36協定届(特別条項含む)有効期限原則1年ごと更新
変形労働時間制協定書有効期限1年単位等
健康診断個人票5年間深夜業従事者は年2回
社会保険・労働保険資格取得喪失届控2年間運転者全員加入要

F. その他

書類名保存期間備考
事業報告書毎年7月10日まで運輸支局へ提出
事業実績報告書毎年7月10日まで運輸支局へ提出
任意自動車保険証券有効期限対人無制限・対物1億以上推奨
下請取引(傭車)契約書5年間下請法対応
整理のコツ:書類はカテゴリごとに色違いのバインダーで分け、営業所ごとに保管します。デジタル化(PDF)も可能ですが、原本提示を求められる場合があるため、原本も併せて保管してください。

⑤ 行政処分の段階と違反点数制度

行政処分の主な種類

処分の種類内容影響
文書警告・口頭注意軽微な違反記録は残る
自動車使用停止(車両停止)違反内容に応じて〇日車該当車両が一定期間使用できない
事業停止(30日以内)全部または一部の事業を停止営業所単位での停止
許可取消事業の根拠を失う5年間再許可不可

違反点数制度の仕組み

項目内容
計算方法自動車の使用停止10日車につき1点
累積期間運輸局単位で3年間累積
消去条件処分日以前2年間点数付与なし/安全性優良事業者(Gマーク取得)の場合は早期消去
許可取消の目安同一営業所で3年間に累計81点以上

令和6年10月強化のポイント

処分基準の引き上げ事項:
  • 点呼未実施:初違反20日車→30日車
  • 指導監督義務違反:初違反20日車→40日車
  • 酒酔い運転発覚:初違反100日車・再違反200日車
  • 運転時間超過:違反者数に応じて加重

⑥ 日常的に備えるべき5つのポイント

1

毎日:点呼の記録

乗務前・乗務後の対面点呼を必ず実施。電話点呼は例外。記録簿に署名を残します。

2

毎週:日報・タコグラフ確認

運転時間・休息時間・拘束時間が改善基準告示を超えていないか週次でチェック。

3

毎月:12項目指導の進捗

年間計画に基づき毎月1〜2項目ずつ指導を実施。記録と署名を残します。

4

四半期:定期点検整備

3か月点検は法定義務。記録簿への記載漏れに注意します。

5

毎年:報告書提出

事業報告書・事業実績報告書を7月10日までに運輸支局へ提出します。

Gマーク(安全性優良事業所)取得のメリット:違反点数の早期消去・巡回指導の頻度減少(3年→4年に1回)・荷主からの信頼向上・助成金加算など多数のメリットがあります。取得には38項目すべてA評価かつ過去3年間の処分歴がないことが要件です。

⑦ Gマーク(安全性優良事業所)取得ガイド

Gマーク取得は監査リスク削減の最高峰の対策

全日本トラック協会が認定する「安全性優良事業所」の証です。取得には3年以上の事業実績と一定の評価点が必要ですが、その見返りは絶大です。

2025年12月現在の認定実績:29,210事業所(全事業所の34.4%)

取得の4大メリット

📉

違反点数の早期消去

通常3年間累積→2年間違反なしで消去されます。実質的に処分リスクが大きく下がります。

📅

巡回指導の頻度緩和

通常2〜3年に1回→4年に1回に緩和。事務負担と監査リスクの両方が軽くなります。

💻

IT点呼・遠隔点呼が可能

対面点呼の代わりにWebカメラ等を使った点呼ができます。営業所間連携で人員効率化。

💰

助成金・割引の優遇

特別研修受講料が7割→全額助成。高速道路の大口・多頻度割引拡大。任意保険料の割引も。

🤝

取引先からの信頼向上

荷主企業の選定条件にGマークを設定するケースが増加。受注機会の拡大につながります。

🏅

国土交通大臣表彰の対象

優良事業者としての社会的評価。求人活動でもアピール材料になります。

評価項目(4グループ・合計100点)

評価グループ配点合格条件主な評価内容
1. 安全性に対する法令の遵守状況40点32点以上巡回指導の38項目(A〜E評価ベース)
2. 事故・違反の状況40点21点以上過去3年間の事故件数・行政処分点数
3. 安全性に対する取組の積極性20点12点以上安全教育・運転者へのインセンティブ・健康診断強化等
合計:新規申請は80点以上/更新申請は70点以上で認定
注意:各グループに「足切り点」が設定されており、合計点が高くても1つのグループで基準を下回ると不認定となります。バランスよく対策する必要があります。

取得スケジュール(2025年度の例)

1

6月

Web申請システム稼働開始(6月2日〜)

2

7月

受付期間(7月1日〜7月14日)

3

8〜11月

書類審査・現地調査

4

12月

認定結果通知・Gマーク交付

申請要件(前提条件)

要件内容
事業実績申請営業所において3年以上の事業実績があること
事業規模申請営業所において5両以上の事業用自動車を保有していること
処分歴申請日前3年間に事業停止・許可取消の処分を受けていないこと
過去事故申請日前2年間に重大事故を引き起こしていないこと
有効期間新規認定2年・更新2年・3回目以降4年(更新申請には期限内手続き必要)

Gマーク取得のための重点対策チェック

Gマーク準備進捗:0 / 14

グループ1:法令遵守の積み増し対策(5項目)

グループ2:事故・違反ゼロ対策(4項目)

グループ3:取組の積極性(5項目)

取得のコツ:グループ1(法令遵守)は38項目の延長線上で対策可能ですが、グループ3(取組の積極性)は意識的に「上乗せ施策」を実施する必要があります。デジタコ装着・SAS検査・安全表彰制度の3点は比較的取り組みやすい高得点項目です。

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