建設業新経営事項審査の改正ポイント
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建設業は、30年前と比較しGDPの割合は18%から9%と逓減しており、リーマンショック等非常に厳しい時代を経て、東日本大震災後 自民党政権の元現在端境期にあるといえます。
好調な時ほど会社の体力及び強みを伸ばしていかないと、「はしごをはずされる」時代になった時に多額の資金が先に出てしまい、資金繰りが難しく、景気不景気の波に影響を受けやすく需要予測が厳しい業界のため生き残りが難しくなってしまいます。
全産業の1割を占める一方倒産企業中の建設業割合は3割を、資金繰り等・受注難など経営の舵取りが難しい業種の一つでもあります。
一方高度経済成長時代の建築物がそろそろ更新時期に入っていること、大規模災害に備えた耐震改修促進法などの改正もあり、今後のかじ取りによっては建設業は内需業種の中では発展の可能性を秘めています
建設業には地域において大きな社会的役割を持っています。
設備、人員等多く中小企業の地域雇用を支え、地域のインフラなどの社会整備、災害時の対応も兼ねると、社会の基盤をなす重要な業種であるという自覚を持ち、施主となる消費者を保護し
経済的基盤、建築技術の向上等を図る必要があります。
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そのため常日頃より以下の点については、注意が必要です。
★顧問税理士の選択によっては資金繰りなども考えず節税対策
★節税のし過ぎにより欠損赤字気味となる 3期続けて赤字
★ 巨額の資金を要するため資金のショート(俗にいう黒字倒産)
★コンプライアンスの欠如による社会的信頼への欠如(業法違反) 工事損害賠償などのトラブル
★下請法違反の例(不当に低い請負代金禁止・一方的な指摘発注留意・不当な使用材料当の購入強制禁止、一方的なやり直し禁止、下請けの責任にない費用増加負担負荷禁止 強制相殺禁止 支払期限を 長期化制限
★税務調査などであとで多額の納税を払うようなケース、労働トラブルの解決金、保険料さかのぼり支払、など不測の多額のキャッシュが発生
建設業会計上の税務調査のポイント
★工事台帳、契約書、発注書、請書などより期末前後の完成工事未収入金、期末仕掛工事の漏れはないか
★現金小口の売上、鉄くず、廃棄処分代などの現金除外収入がないか
★リベート収受 談合 降り料 談合金(交際費)など 相手先を帳簿に出せない経費
★貯蔵品もれ 印紙
★外注と社員の区分 源泉所得税と消費税
★現金支払い経費 架空経費 個人的経費はないか
★修繕費と資本的支出
★減価償却資産と原価の区分
★顧客紹介手数料は事前に契約書で情報提供料を対価としているか
★足場工事代などの経費処理
★土地建物等の譲渡の場合の合理的区分
特に仕掛工事については、必ずといっていいほど建設業の場合は確認されるところです。 仕掛工事とはまだ収益にされていないにもかかわらず今期で経費にしている外注費、原材料等の原価を資産計上する必要があります
、固定的な費用(販管費などの固定的な費用)は計算対象にしなくてもよいかと思います。
下請などで出来高に応じて原価を計上している場合は期末までの出来高計算も認められます。
建設業会計に詳しく、資金繰りや融資対策にも万全な当事務所にご相談下さいきちんとした期ずれ、在庫、売上もれのない税務調査で「戦わない 戦わないで済む」決算書・申告書の作成 従業員労務対策のできる当事務所にご相談下さい
一方以下の点については積極的に推進すべきでしょう
★従業員の資格取得推進、建設業独自の教育訓練の実施 これにつきましては、助成金の対象となっているもの、 毎年度事前に計画を出すものもありますので当事務所社労士に相談下さい。
★施工管理台帳など書面の整備 建設業コンプライアンスの順守
★建設業許可は必ず取得します
メリット 大きな工事ができる(工事1件」1500万以上)
不動産業、建設業は信頼が命 社会的にも許可業者であれば安心です
金融機関は公的融資制度は許認可業種の場合許認可を得ていることを融資の条件としています
ゼネコン、大企業などはそもそも建設業許可を持っていない下請けは使わない (法人化も求められるケースもあり)
元請として公共工事に参入できる 経営事項審査を受けられる資格である
許可を受けないで建設業を営むものと500万以上の下請契約を締結した場合は建設業法上指示処分の監督処分が下されます。
★個人事業は法人化したほうがメリットがあるでしょう
メリット 大企業などはそもそも個人口座では取引してくれないことがある
個人事業主に与えられた建設業許可は本人限りなので事業承継ができない 事業所などの賃貸契約も自動的には承継不可
個人事業は、金融機関よりも信用度が低いため、大規模な工事には参入できないは入れない
改正の趣旨
★ 公共工事の企業評価における「物差し」として、公正かつ実態に即した評価基準の確立
★ 生産性の向上や経営の効率化に向けた企業努力を評価・後押し
★建設業社会保険未加入問題への対応
アベノミクス、オリンピックと建設業界にとっては追い風のニュースも続きますが、仕事が好調な時に会社の収益体質、財務体質を骨太にし
従業員の技術を向上させ、会社の体力を備えておくことが肝心です。
建設業の許可更新及び経営事項審査については、建設業の会計、経営助言を行う税理士、労働福祉の管理、労働保険、社会保険の手続きを行う社会保険労務士
許可更新、経営事項審査の書類を作成する行政書士のワンストップ能力が必要です。 多くの建設業の顧問先を持ち、建設業専門会計に慣れ、労災等を含めた保険加入までスピーディに処理できる当事務所に遠慮なく御相談下さい。
従来は、一般企業の売上高に当たる「完工高」を重視してきました。 しかし平成20年4月の抜本的改正により 従来の「完工高」重視から「利益」重視になりました。
中小企業においては、労働福祉など社会的責任を果たしている会社に対する評価加算減算幅を広げています。経営事項審査の総合評定値(P)を上げるために技術職員を多数抱えたり完工高を増やしたりすることをやりすぎると、無駄な経費や無理な受注は利益を圧迫するので、バランスの取れた会社でないと評点が上がらない仕組みになってます
ペーパーカンパニーや、、技術力のない会社の排除の方向性を示しています。
雇用保険、社会保険などの加入、労災上乗せ保険、建設業退職金共済加入 経理の有資格者による監査など経理の信頼性向上
などについて重視するようになりました。
また虚偽申請などはより厳格な営業停止処分などが課されるようになりました。
経営事項審査に使用される数値は税抜が前提となります。
最近の重点事項及び対策
改正項目 | 内容 | 確認書類など | 対策 |
技術者に必要な雇用期間の明確化 | 技術者などにたいし名義借りなどの防止のため、審査基準日以前6カ月を超える恒常的雇用関係があり、かつ期間の定めの内常時雇用者 | 被保険者標準報酬決定通知書・雇用保険被保険者確認通知書 | 技術者の長期雇用の確保 社会保険雇用保険の加入 |
再生企業に対する減点措置 | その他の審査項目(社会性等)の評価のうち営業年数の評価点より大幅に減点 | 経営改善・資金繰りに常に務める 過度な節税対策、売上不振、 放漫経営に注意する。 |
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建設機械の保有状況 | 建設機械のうち災害時に貢献できる右の建設機械は保有台数に応じた加点評価あり リースも決算から1年7か月以上契約期間の残っている者は対象となる。 |
ショベル系掘削機、ブルドーザー、トラクターショベルなど | 対象となる資産の取得 建設機械で160万以上の新品資産の取得は税法上の特別償却の対象となる。 |
ISOの取得状況 | 認証範囲に建設業を含むISO9001の認証取得 認証範囲に建設業を含むISO14001の認証取得 |
ISO9001 ISO14001 |
会社での取得以外は不可 |
社会保険未加入の減点拡大 | 健康保険・厚生年金保険 雇用保険未加入業者の減点対象を大きく増加 点数にて各マイナス30から各マイナス40へ W点への影響はマイナス570からマイナス1140へ P点への影響は、マイナス86からマイナス171へ と非常に高く社会保険加入していないと公共事業へは原則として算入できないほどの影響がある。 特に社会保険については、24年11月1日より許可行政庁は許可更新申請時に社会保険の加入状況の確認を実施 未加入の場合指導文書が送付され加入報告がないと日本年金機構、労働局に通報 これらの役所は強制的に調査加入徴収手続きを取ることとなる。 |
許可更新時の確認申請直前の健康保険及び厚生年金保険の保険料に係る領収書の写し 申請直前時の健康保険及び厚生年金保険の保険料に係る納入証明の原本 申請時直前の健康保険・厚生年金被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書の写し (健康保険について建設国保加入の場合は国民健康保険被保険者証の写しまたは加入証明書の原本 雇用保険については 申請時直前の労働保険概算・確定申告書の写し 雇用保険料の納入に係る領収書の写し |
年金事務所などの調査により指摘されるとさかのぼって全員加入されるケースも出てくる。(2年間) 労働保険・雇用保険についてもさかのぼり加入となると大きな経済的負担となるので随時加入しておく。 社会保険、労働保険双方に加入した場合定期的に保険調査もあるためきちんと専門家に頼むほうがよい。 また重大な労災事故等あった場合労働基準監督署の臨検がある。 |
外国子会社の経営審査 | |||
各評点別対策
対策 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
工事種類別年間平均完成工事高評点 (X1) | ●ウエイトが以前は35%を占めていたが利益重視で25%に変化 5億以下の完成工事高の範囲において評点格差が明確になるよう設計されている ●受注高のアップ(今のご時世難しい) ●赤字工事をしない 利益率重点に置いた受注を目指す ●下請けを値段でたたいたりあまりにも安い人件費では粗雑な利益率の低い仕事しか来ない。、独特の強みが持てるように自社の技術、能力と強み、差別化できる戦略、強味を持てるようにする。 ●〆後の工事売上(それに伴う原価)をきちんとあげる。 工事台帳などの工事ごとの管理が重要(税務調査でも建設業は期ずれと仕掛工事が重点項目である) ●工事一式というように工事をまとめる。一式工事として審査を受けない関連工事を積み上げる 例土木 と 石 舗 しゅ 水 鋼 建設 大 左官 屋 夕 板 ガ 防 内 絶 具 電 官 塗など ●工事進行基準採用(期中での適正な売上計上 |
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自己資本額及び平均利益額 (X2) | 自己資本額は、基準決算における純資産合計 平均利益額は、利払前税引前償却前利益の2年平均の額で審査される。利払前税引前償却前利益とは営業利益の額に減価償却実施額を加えたものと定義しており、2年平均の額をもって審査される。 |
●EBITDA(イービットディーエー)は税引き前減価償却費、企業の収益力を図る 税引き後の利益に法人税、減価償却費、支払利息を加算したもの 営業利益+減価償却費 銀行融資でも重視される。 減価償却を減らし見せかけの利益を出すより減価償却費はきちんと計算したほうが良いでしょう 減価償却費が大きいほど良い評点という意味では、固定資産を持たないペーパーカンパニーの、単なる手配師のよううな業者の排除という意味での評価と思われる。 ●自己資本の充実 これは融資でも非常に大事なポイントです。 多少の不況によるブレがあっても自己資本が充実していれば安心です。 中小企業の場合自己資本が少なく、俗にいう債務のほうが多い債務超過のの場合金融機関の評価が著しく下がり融資も受けられないため経営危機の状態となってしまいます。 多少の税金を払っても自己利益の蓄積に努めること 資本の増資 DES 合併など ●固定資産(特に建設機械(ショベル系)の取得 |
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建設業種類別技術職員数及び工事種類別年間平均元請完成工事高評点 (Z) |
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●技術者職員の確保 派遣社員やアルバイト(期間雇用)では認められない ●教育訓練等で上位資格の取得を目指す |
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工事の種類別年間平均元請完成工事高評点は、申請した工事種類ごとに算出。2年平均(激変緩和措置により3年平均を選択することも可)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
経営状況評点 (Y) |
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●工事進行基準の採用 (まだ引き渡していない工事部分の粗利益を計上)→粗利益の向上 ●自己資本比率の向上 役員借入金のDES 増資 ほどよい利益の蓄積 (資本金1000万までは税務上均等割りは増えない建設業の場合最低500万が必要 特定建設業は資本金2000万以上 自己資本額4000万以上 流動比率75%以上 ●純支払利息率の向上のため、借入を減らす、利息のなるべく安い融資に組み替える 従業員等より貸付利息をとる ●支払手形などのサイトの長い支払債務の短縮化 売掛債権の短縮化 |
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その他の審査項目(社会性等)評点 (W) |
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労働福祉の状況は今回の改正で大きく変化したところです。(建設業社会保険未加入問題) 自社の所属団体が市区町村と防災協定を締結し地域防災活動へ貢献 会計参与の設置 自社社員の建設業経理士1級2級の取得 自主監査 建設機械の保有 継続的な稼働が認められる場合に限るが建設機械の保有が有利となった。 公共事業は、地域の事業所を優先する。 市内に本店または営業所のあることを要件とする場合もあるので営業所を設けた場合は 登記し、異動届等の税務届出を提出する。 |