年収の壁 完全ガイド 2026年版

「いくらまで働いていい?」
に、はっきり答えます。

年収の壁は、税金の壁社会保険の壁の2種類があります。
ごちゃまぜにして考えるから、わからなくなるのです。
この2つを分けて、順番に説明します。

税金の壁 社会保険の壁 大学生の特例 2026〜2035年 改正スケジュール
Step 0 — まず最初に

「2種類の壁」を頭に入れてください

読み始める前に、この区別だけ覚えれば、あとはスラスラ理解できます。

🏷️

税金の壁
(所得税・住民税)

壁を超えた超過分だけに、少しずつ税金がかかります。いきなり手取りが激減することはありません。
壁を気にして働く時間を減らすより、むしろ気にしすぎないほうがいい壁です。

🏥

社会保険の壁
(健康保険・厚生年金)

壁を超えた瞬間、保険料が年収全体にかかるので、手取りが一時的にガクッと下がります。
本当に注意すべき「働き損」が起きるのは、こちらの壁です。

💡 この2つは全くの別制度です。「税金がゼロ=社会保険も大丈夫」ではありません。
所得税と住民税でも、適用のタイミングが異なります。それぞれ別々に確認することが大切です。

Step 1 — 全体像

「壁」は全部でいくつあるの?

低い順に並べました。自分に関係する壁から読んでください。

📊 年収の壁マップ(2026年6月時点)
税金の壁 社会保険の壁

100万円前後
税金
住民税がかかり始める
自治体によって異なりますが、おおむね年収100〜103万円前後から住民税が発生します。令和8年度(2026年度)からは、給与所得控除の引き上げで103万円前後に。反映は翌年課税です。
2026年度から103万円前後に上昇
106万円→撤廃へ
社会保険
条件つきで社会保険に加入する義務が生じる
現在(2026年6月)は「週20時間以上・月収8.8万円以上・従業員51人以上の会社・2か月超の雇用・学生でない」という5つの条件をすべて満たすと加入義務が発生します。
2026年10月に月収要件(8.8万円)が撤廃→週20時間が主基準に
130万円
社会保険
扶養から外れる(だれにでも適用)
会社の規模や労働時間に関係なく、年収130万円を超えると扶養(被扶養者)でいられなくなります。自分で国民健康保険・国民年金に加入し、保険料を全額自己負担します。最も「手取りが逆転しやすい」壁です。
2026年以降も継続。大学生(19〜22歳)は150万円に引き上げ済み
136万円2026年〜
税金
配偶者控除(満額38万円)の上限
扶養している配偶者の年収が136万円以下なら、扶養する側は満額38万円の配偶者控除を受けられます。(2025年分は123万円が上限でした。)
2026年分から123万円→136万円に引き上げ
160万円→178万円
税金
配偶者特別控除が減り始める / 本人の所得税ライン(2025年分)
配偶者の年収が160万円を超えると配偶者特別控除が段階的に減少し、約201万円でゼロになります。また、本人(単身)に所得税がかかり始めるのは2025年分が160万円でした。
2026年分から本人の所得税ラインは178万円に引き上げ
178万円2026年〜
税金
本人の所得税がかかり始める(2026年分〜)
2026年(令和8年)分の所得税から、本人の課税ラインが178万円に引き上げられました。178万円を超えた分だけ所得税がかかります。いきなり大きな負担にはなりません。
2026年分から正式適用。2028年以降は168万円前後に戻る可能性あり
Step 2 — 税金の壁を深掘り

所得税・住民税、それぞれどう変わった?

「所得税」と「住民税」は別の税金です。改正のタイミングも変わり方も異なります。

🏷️ 所得税 — 超えた分だけかかる、本人への税金

178万円

所得税は「基礎控除+給与所得控除」の合計額を年収が超えたときに、はじめてかかります。この合計額が、いわゆる「所得税の壁」です。

年分(収入を得た年)基礎控除給与所得控除(最低)壁(合計)
〜2024年(令和6年)まで48万円55万円103万円
2025年(令和7年)分最大95万円65万円160万円
2026〜2027年(令和8〜9年)分最大104万円74万円178万円
2028年(令和10年)以降最大99万円前後※69万円約168万円
※ 2026・2027年分の上乗せ特例(各5万円)は時限措置。2028年以降は物価連動で調整される予定です(168万円程度を維持する設計)。
💡
壁を少し超えても急に損になることはありません。たとえば年収180万円の場合、178万円を超えた2万円分だけに5〜10%の税率がかかります。税額は数千円〜1万円程度です。

🏠 住民税 — 所得税とは「別ルール」がある

〜103万円前後

住民税は所得税と仕組みが似ていますが、3つの大きな違いがあります。ここが「住民税がわかりにくい」最大の理由です。

住民税が「わかりにくい」3つの理由
基礎控除が所得税より低いまま据え置き。
所得税の基礎控除は最大104万円まで引き上げられましたが、住民税の基礎控除は最大43万円のまま変わっていません。そのため「所得税がゼロでも住民税はかかる」という状況が生まれます。
課税されるのが「翌年度」。
たとえば2025年(令和7年)に稼いだ収入にかかる住民税は、2026年(令和8年)6月〜翌年5月に分けて徴収されます。「去年は稼いでいないのに今年住民税が来た」という驚きの原因はこれです。
給与所得控除は引き上げられた(2026年度から)。
住民税でも給与所得控除の最低保障額が55万円→65万円→69万円(さらに74万円)と引き上げられています。基礎控除は動かないものの、給与所得控除が上がった分、課税されない年収の目安は上昇しています。
 所得税住民税
基礎控除(2026年〜) 最大104万円
(大きく引き上げ)
最大43万円
据え置き・変わらず
給与所得控除(最低) 74万円
(2026〜27年特例)
74万円
(同じく引き上げ)
課税されない年収の目安 178万円 約117万円前後
(自治体や非課税判定による)
課税のタイミング 当年(給与から源泉徴収) 翌年6月〜
※ 住民税の非課税限度額(均等割・所得割)は自治体によって異なります。上記はあくまでも目安です。
⚠️
住民税は「1年遅れ」でやってくる点に要注意です。
たとえば2025年に年収160万円を稼いだ場合、所得税は2025年中に源泉徴収されますが、住民税は2026年6月から引き落としが始まります。退職・産休などで収入が減った年の翌年に住民税の請求が来て慌てるケースが多いので、必ず翌年分を頭に入れておきましょう。
Step 3 — 社会保険の壁を深掘り

本当に「働き損」になるのは、この2つの壁

社会保険は、壁を超えた瞬間に「保険料が全体にかかる」ので手取りが段差で減ります。2026〜2035年に制度が大きく変わります。

🔵 106万円の壁 →「2026年10月」に賃金要件が撤廃されます

現在は「月収8.8万円以上」という条件が、2026年10月から消えます。

現在(2026年6月時点)、次の5つをすべて満たすと社会保険への加入義務が発生します。

要件現在(〜2026年9月)2026年10月〜
① 月収(賃金)8.8万円以上(年収換算106万円)撤廃(廃止)
② 週の所定労働時間20時間以上20時間以上(維持)
③ 雇用見込み2か月超2か月超(維持)
④ 学生でないこと昼間学生は適用除外同左(維持)
⑤ 企業規模従業員51人以上段階的に引き下げ(下記参照)
📌
経営者の方へ:2026年10月以降は、月収が8.8万円未満であっても、週20時間以上働いている方は加入対象になります。 パート・アルバイトの方全員の労働時間を今のうちに確認し、会社が負担する保険料(賃金の約15%)の増加分を試算しておきましょう。

📅 企業規模要件の段階的撤廃スケジュール

時期対象になる企業規模状況
〜2026年9月(現在)従業員 51人以上現行
2026年10月〜従業員 51人以上(賃金要件のみ撤廃)⬅ 次の改正
2027年10月〜従業員 36〜50人にも拡大注目
2029年10月〜従業員 21〜35人にも拡大予定
2032年10月〜従業員 11〜20人にも拡大予定
2035年10月〜従業員 10人以下も含む全企業最終形
⚠️
2027年10月は「36人以上」が対象です。「30人以上」ではありません。
厚生労働省・日本年金機構の公式スケジュールでは、2027年10月から「従業員36〜50人」の企業が新たに適用対象となります。自社の従業員数を今から確認しておきましょう。

🔵 130万円の壁 — 会社の規模に関係なく、全員に適用

2026年以降も撤廃される予定はなく、最も「手取りが逆転しやすい」壁です。

106万円の壁に当てはまらない方(従業員の少ない会社・週20時間未満など)でも、年収が130万円を超えると扶養から外れます。自分で国民健康保険と国民年金に加入し、年間20〜30万円程度の保険料を全額自分で払う必要があります。

繁忙期などで「うっかり130万円超」になりそうな場合の救済措置があります。
勤務先が「一時的な収入増加である」と証明書を発行すれば、引き続き扶養のままでいられます。年末に近づいたら早めに勤務先と相談しましょう。(厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」)
💡
もし130万円を超えるなら、150〜160万円以上を目指しましょう。
130万円を少しだけ超えた年収(たとえば135万円)が最も損になります。保険料を払い終えてから手取りが改善し始める水準は、一般的に150〜160万円程度と言われています。
Step 4 — 大学生(19〜22歳)の特例

大学生のアルバイトは、
特別ルールで大きく変わりました

19歳以上23歳未満の子が対象。税金・社会保険の両方が2025年に改正されました。 親の税負担・子の扶養それぞれ分けて確認しましょう。

🎓 大学生の年収と「親・子それぞれの影響」早わかり表

対象:19歳以上23歳未満の子(2025年10月〜・令和7年度改正)


123万円
【税金】 子自身に所得税がかかりません。親は特定扶養控除・満額63万円を受けられます。
【社会保険】 子が昼間学生なら、勤務先の規模・時間に関わらず、社会保険は適用除外(加入不要)です。
→ 働くうえで最も心配のないゾーンです。

150万円
【税金】 子自身に少し所得税がかかりますが、親は特定扶養控除・満額63万円を引き続き受けられます。
【社会保険】 2025年10月以降、19〜22歳の子の健康保険の扶養(被扶養者)認定基準が150万円未満に引き上げられました。親の健康保険の扶養のまま通院できます。
→ 税金・社会保険どちらも扶養の中で働けます。
150万円

188万円
【税金】 子自身に所得税がかかります。親が受けられる控除は特定親族特別控除(段階的に減少)に切り替わります。188万円を超えると控除はゼロになります。
【社会保険】 150万円を超えると健康保険の扶養から外れます。子は自分で国民健康保険・国民年金に加入が必要になります(昼間学生は国民年金の学生納付特例が使えます)。
→ 税金は段階的。社会保険は150万円で扶養が切れます。
188万円
超え
【税金】 親の特定親族特別控除はゼロになります。子自身にも所得税・住民税が発生します。
【社会保険】 扶養対象外。子は自力で保険加入が必要です。
→ 親・子ともに税金・社会保険の負担が本格化します。
⚠️
「昼間学生」かどうかで社会保険の扱いが変わります。
夜間部・通信制の学生は「昼間学生」の適用除外に該当しない場合があり、通常の短時間労働者と同様の加入要件が適用されます。お子さんの学籍の種類を確認してください。
📌
国民年金の「学生納付特例」に注意。
学生納付特例は前年の所得が一定以下の場合に保険料の納付を猶予できる制度ですが、年収が約128万円を超えると利用できなくなる場合があります。年収150万円近くで働くお子さんは、別途確認が必要です。
Step 5 — 実例

年収別・手取りのイメージ

「同じ会社で働く」前提で、年収が違うと何が変わるかを比べてみます。(51人以上の会社・配偶者として扶養されているケースを想定)

💚 年収120万円

所得税(本人)かからない
住民税少額(約1〜2万円)
社会保険料(本人)かからない(月収10万円=8.8万超で要注意)
配偶者控除(夫側)満額・受けられる
おおよその手取り約118〜119万円

月収換算で10万円。月収8.8万円を超えるため、106万円の壁に注意が必要です(51人以上の会社の場合)。

⚠️ 年収133万円(要注意ゾーン)

所得税(本人)かからない
住民税約2〜3万円
社会保険料(本人)約19〜20万円(130万円超のため)
配偶者控除(夫側)減額(配偶者特別控除へ)
おおよその手取り約110〜111万円(120万円より少ない!)

130万円を少し超えた状態。社会保険料の負担で、年収120万円より手取りが少なくなります。これが「働き損」の典型例です。

💚 年収160万円

所得税(本人)かからない(2025年分まで)
住民税約3〜4万円
社会保険料(本人)約23〜24万円(130万超のため)
配偶者特別控除(夫側)満額38万円を受けられる
おおよその手取り約132〜133万円

130万円超の社会保険料を払っても、働き損ゾーンを脱出できる水準です。

💚 年収180万円(2026年〜)

所得税(本人)2万円超に課税(数千円程度)
住民税約5〜6万円
社会保険料(本人)約26〜27万円
配偶者特別控除(夫側)減額(段階的に減少)
おおよその手取り約147〜148万円

所得税の壁(178万円)を少し超えますが、税額は少額です。社会保険への加入で将来の年金も増えます。

※ 上記は東京都・協会けんぽ加入(40歳未満)を前提とした概算です。実際の金額は家族構成・加入している保険組合・住んでいる自治体などにより異なります。

Step 6 — 改正スケジュール

いつ、何が変わるのか?全スケジュール

税金と社会保険の改正が、時系列で続いています。自社・自身に関係する年をチェックしてください。

2025年令和7年
税金 社会保険

【税金】 所得税の壁が103万円→160万円に引き上げ。大学生(19〜22歳)の扶養控除上限が150万円へ。特定親族特別控除(最大63万円)が新設。
【社会保険】 年金制度改正法が2025年6月に成立。106万円の壁の賃金要件撤廃・企業規模の段階的拡大が決定。
【社会保険】 2025年10月〜、大学生(19〜22歳)の健康保険の扶養認定基準が130万円未満→150万円未満に引き上げ。

2026年令和8年
税金 社会保険 ⬅ いま

【税金・4月〜】 令和8年度税制改正法が3月31日に成立。2026年分の所得税から、課税最低限が160万円→178万円に引き上げ(給与所得控除74万円+基礎控除最大104万円)。配偶者控除の上限も123万円→136万円に拡大。
【住民税・6月〜】 2025年の収入に対する住民税が徴収開始。給与所得控除が65万円→69万円に引き上げられ、非課税ラインがやや上昇。
【社会保険・10月〜】 106万円の壁の賃金要件(月額8.8万円)が撤廃。週20時間が主基準に。51人以上の企業対象。

2027年令和9年
税金 社会保険

【税金】 2026年分に引き続き、課税最低限178万円が維持(令和8・9年の時限措置)。
【住民税】 2027年度(令和9年度)分から、給与所得控除が69万円→74万円に(2027〜28年の特例)。住民税の非課税ラインがさらに上昇。
【社会保険・10月〜】 企業規模要件が36〜50人の企業にも拡大。従業員36人以上の企業で働くパート・アルバイトが新たに加入対象に。

2028年令和10年
税金

【税金】 2026・2027年分の上乗せ特例(各5万円)が終了予定。課税最低限は約168万円前後に戻る見込み(物価連動により調整)。

2029年令和11年
社会保険

【社会保険・10月〜】 企業規模要件がさらに21〜35人の企業に拡大。

2032〜
2035年令和14〜17年
社会保険

【社会保険】 2032年10月〜:11〜20人の企業に拡大。2035年10月〜:10人以下も含む全企業が対象に。
最終的に「週20時間以上働く学生以外の方は、会社の規模に関係なく社会保険に加入」という制度になります。

まとめ

要点を一覧で確認

この表1枚で全体が把握できます。

壁の名前種類2026年時点のライン一言ポイント
住民税税金〜103万円前後基礎控除は43万円据え置き。翌年6月に課税される点に注意
所得税(本人)税金178万円(2026〜27年)超えた分だけ少額課税。過度に恐れる必要はない
配偶者控除(満額)税金〜136万円160万円までは特別控除で満額38万円を維持
配偶者特別控除がゼロに税金約201万円超160万円〜201万円まで段階的に控除が減少
106万円の壁社会保険2026年10月に賃金要件撤廃週20時間以上が主基準に。企業規模要件も段階的拡大
130万円の壁社会保険130万円(維持)最も手取りが逆転しやすい壁。超えるなら160万円超を目指す
大学生(19〜22歳)
税の扶養
税金〜150万円で親の控除が満額150〜188万円は特定親族特別控除で段階減
大学生(19〜22歳)
社保の扶養
社会保険150万円未満(2025年10月〜)昼間学生は社保加入不要。国民年金の学生納付特例も確認
📞
ご自身の状況に合った最適な働き方は、世帯全体で計算する必要があります。
配偶者の収入・お子さんの有無・勤務先の規模・加入している健康保険組合の条件によって、最適解は変わります。迷った場合はお気軽にご相談ください。