「不支給リスクの排除」と「受給額の最大化」を両立する、申請手順の実務ガイドです。最大で1人あたり80万円+加算。
日付管理と証拠づくりを、申請書を書く前から設計します。
まず、令和8年度に変わった点を押さえます。古い情報のまま計画を立てると、不支給に直結します。
転換実績などを自社サイトまたは「しょくばらぼ」に公表すると中小20万円・大企業15万円を加算(1事業所1回)。R8.4.8以降の取組が対象です。
令和8年4月1日に廃止。R8年度以降の社会保険適用は短時間労働者労働時間延長支援コースへ一本化。廃止コースでの計画立案は致命的ミスです。
「雇用関係助成金ポータル」での電子申請が原則。電子の計画は始期を提出日の翌日以降にしか設定できず、遡及は一切不可です。
有期雇用労働者等を正規雇用へ転換、または派遣労働者を直接雇用した事業主が対象です。単なる「無期化」では足りず、正社員待遇の制度設計が必要です。
いずれか1制度以上を規定。「原則支給」と読める表現が必須です(裁量だけの表現はNG)。
原則として年1回以上の実施を予定。「毎年○月に勤務成績に応じて」など客観的基準で。
正規雇用として妥当な待遇であること。①②と合わせ「長期雇用を前提」と確認されます。
| 項目 | 支給対象となる表現(安全) | 不支給リスクの高い表現(危険) |
|---|---|---|
| 賞与 | 「原則として支給する。ただし業績により変動あり」 | 「支給しない。ただし業績により支給することがある」 |
| 昇給 | 「毎年○月に、勤務成績に応じ昇給させる」 | 「会社が必要と判断した場合に昇給を行う(基準不明)」 |
判定の分かれ目:「原則支給が明瞭で、客観的基準があるか」。会社の恣意的判断のみの表現は不可です。
「重点支援対象者」に該当するかで金額が大きく変わります。さらに各種加算が上乗せされます。
| 転換の種類 | 区分 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|---|
| 有期雇用 → 正規 | 重点支援対象者 | 80万円 | 60万円 |
| 上記以外(一般) | 40万円 | 30万円 | |
| 無期雇用 → 正規 | 重点支援対象者 | 40万円 | 30万円 |
| 上記以外(一般) | 20万円 | 15万円 |
| 加算の種類 | 加算額 | 要件のポイント |
|---|---|---|
| 新たに正社員転換制度を整備 | 20万円 | 対象期間内に新しい転換制度を規定し、最初の対象者を転換 |
| 多様な正社員制度を新規規定し転換 (勤務地限定・職務限定・短時間正社員) | 40万円 | いわゆる「限定正社員」区分を新設して転換 |
| 情報公表加算(R8新設) | 中小20万 / 大15万 | 転換実績等を自社サイト・しょくばらぼに公表(1事業所1回) |
※支給対象人数には1年度1事業所当たりの上限があります。金額・要件は年度途中で変わり得るため、申請前に必ず厚労省の令和8年度版パンフレットで最新を確認してください。
次のいずれかに当てはまる方が「重点支援対象者」です。該当すると支給額が大きく上がるため、対象者ごとに必ず判定します。
最大の事故は「計画提出より前に転換してしまう」こと。取組は必ず計画期間の中で行います。
助成金は「申請業務」ではなく「労務運用の設計」です。下の流れを取組前から一体で組みます。
役割分担の目安:経営者=コース選定の決裁/人事労務=規程改定と計画書/給与担当=賃金算定と支給日管理/総務・社労士=社保・雇保手続/現場管理職=推薦・面談・実施記録/経理=口座・保存台帳。
電子の計画始期より前の取組は紙申請、始期以降は電子申請が原則です。案件ごとに最初から「紙でいく/電子でいく」を決め、混在を避けます。
労働局は、就業規則・雇用契約書・賃金台帳・出勤簿・本人確認の整合性を見ます。1つだけ整えても足りません。
提出は原本またはそのコピーが鉄則。「見やすくするため」とExcel等で再作成・加工した書類は、原本との相違を疑われ不正受給と判断される重大リスクがあります。
転換制度の条文に、客観的な要件・手続・実施時期を明示します(自社の実態に合わせて必ず修正してください)。
「会社が必要と判断した場合に賃金を改定する」とだけ規定したものは、客観的な昇給基準として弱く、不支給リスクが高くなります。
転換後6か月の賃金が、転換前6か月と比べ3%以上増額していることが必要です。計算ミスでの不支給が多発しています。
月途中転換時の基本給・固定手当の日割り誤りで「2.99%」となり不支給に。
固定残業代の差は原則「賃金計算方法の差」と認められません。基本給・固定的手当で改善を。
厚労省の「賃金増額要件確認ツール(最新Excel)」で必ず検証。独自計算は危険です。