さくらちとせの
お馬鹿だけれども覚悟の必要な税理士試験論


1.税理士試験に臨む覚悟とは・・

 大原・TAC・ダイエックスなど、税理士試験の対策講座を持つ専門学校はたくさんあります。そのパンフレットを見ると、いかにも、誰でも簡単に税理士試験に合格できるように書いてあります。

 ここで、ちょっと数字をお見せしましょう。

受験者数
(実際に受験した者)
5科目全部に
合格した者
(官報合格者)
合格割合 すなわち 一部科目合格者 備考
平成16年度
第54回
56,126人 1,090人 1.9% 51.5人毎
の代表
8,039人 簿記論の合格率が大幅に下がった
平成15年度
第53回
55,175人 1,193人 2.1% 46.2人毎
の代表
9,850人 さくらちとせ官報合格
簿記財表の高合格率に批判が集まる
平成14年度
第52回
52,560人 1,074人 2.0% 48.9人毎
の代表
7,706人 さくらちとせ消費・所得合格
消費低合格率・簿記財表高合格率
平成13年度
第51回
50,677人 1,085人 2.1% 46.7人毎
の代表
7,415人 さくらちとせ簿記・財表合格
国徴低合格率・財表高合格率
平成12年度
第50回
52,567人 1,076人 2.0% 48.9人毎
の代表
7,173人 さくらちとせ4科目全部撃沈
各科目平均的な合格率
平成11年度
第49回
52,477人 1,052人 2.0% 49.9人毎
の代表
6,945人 さくらちとせ初受験3科目全部撃沈
簿記低合格率


 私が言いたいことは、とにかく、5科目を集めることがいかに厳しいことなのかということです。考えてみてください。もし、もっと合格率が高かったら、日本中、税理士さんだらけになっちゃいますよ。すなわち、そうならないということは、それだけ難しいということなんです。

 結局この試験、資本力勝負の試験だし、最後までねばり強く打ち続けた人のみが、この、50人くらいの代表になれるということなんですね。自分自身、この表を作ってみて今回初めて、「こんなに大変な試験だったのか!!」と思ったくらいです。

 よってこの試験、私から言わせれば、大学受験よりも厳しいと思っていただきたい。大学受験は、そのレベルに達しなければ志望校のレベルを下げて受けることも可能です。でも、税理士試験は、レベルを下げてくれません。すなわち、石にかじりついてでも、このレベルに達しなくてはならないわけですね。



.こんな人は、税理士試験を考えるのをやめなさい!!

 はっきりと言いますが、こういう人は、税理士試験を考えるのをやめた方がいいです。たぶん、専門学校のお布施になるだけです。

・残業が多くて午後8時以降に自宅に帰ってくる人(一体いつ、勉強するの??)
・2年で合格できるだろうという考えを持つ人(そんなに甘くはないですよぉー。大原の2年内官報合格者報奨金は20万円ですよぉ!!そんなにたくさんの人が達成していたら、大原は報奨金の大盤振る舞いでつぶれます。)
・税理士になりたい。税理士になってこんなことをしたいという明確な目標のない人(苦しさに負けます。)
・親にすねかじって資本を獲得してもいいが、すねかじりもできず自分でも資本力のない人(私でも累計150万円近くかかりました。新車1台買うくらいのお金がいります。)

 なお、お馬鹿さんでも、税理士試験には合格できます。それを、私が証明しました。ですから、やめなさい項目には、勉強が不得意だった人というのは入れていません。むしろ、打たれ強さがあり、意外とこういう人が合格しています。かえって、今まで学校での学習が順風満帆だった人が、大きな挫折感を味わい、辞めてしまう人が多いような気がします。



3.ここまで来た人、根性あります

 もう、ここまで読んだだけで、税理士試験やめようかなぁーと思ったと思います。ここまで読んできて、「何をほざくか、ウサギさん!!私は、絶対に税理士試験に合格してやるんだ!!」と思っている人は、なかなか見込みあります。

 では、すごく生ぬるいことを言いましょう。

 やることやっていれば、連ドラ見ようが、徹マンしようが、朝から晩までパチンコ屋でスロット打っていようが、合格できます。

 私も、直前期に、パチンコ屋でスロット打っていて、消費・所得に合格しました。ただし一言言いますが、やることはやっていました。
 別段、「受かるぞ!!東大!!」とねじりはちまきをして、勉強部屋に缶詰にならなくても、合格するときには合格します。

 やることをやるためには、3Mの追放に尽きます。
・無理
・ムラ
・無駄

 専門学校のテキストは、とことん無駄をしなくてすむような構成になっていますので、専門学校に行っている人はとことんまで自分の決めた専門学校のテキストを信用してください。逆に、あれこれ浮気をするのは大変に良くない!!特に、気に入っているテキストや外販問題集・答練問題は、骨の髄まで愛して、使い倒してください。

 そうなると、自分自身で問題になるのは無理とムラです。先にも述べたように、人は1日8時間勉強しよう!!なんていう目的たてても、たぶん勉強できません。しかも、それを最低2年ですよぉー。まず無理ですよぉー。大学受験予備校生だって、予備校帰りにパチンコとかしているのに・・・。
 ですから、自分がいっしょうけんめいがんばったときの6割から8割の力でできる目標を立てるわけです。

 次に、ムラのな実行に移ります。無理ない目標を立てたのですから、この目標を達成するのはたいした苦労はいらないと思います。ただし、どんなにやりたくないときでも、必ずやるという覚悟は必要です。それだけは、必ず守ってください。無理ない計画を立てたのは、こういう、やりたくないときでも、何とか自分自身を奮い立たせることができるからです。ただ、目標を達成した日は、どんなに物足りないなと思っても、思いっきり遊んだりしてください。
 最後に、この「無理ない計画、無駄ない実行」は、絶対に前倒ししてください。人間不思議なもので、後でやろうなんて思ってもまずやらないですし、後でやろうとすればかなりきついです。だからこそ、先にやってください。飲み会などで夜が使えなければ、その日は朝早く起きてやるとか、工夫してください。



4.スランプは言い訳です
  −いつまで大本営発表をするのですか?


 税理士試験、各科目合格ですら、10人に1人程度という合格率で、9人は涙するわけです。すなわち、9人は敗者ということです。もちろん、その中には記念受験組という人もいるでしょうし、箸にも棒にもかからないという人もいるでしょう。ボーダー勝負ということになれば、5人に1人という可能性もあります。いずれにしても、まじめにやってきて、敗者になったときには、なかなか敗者とは認めたがらないと思います。しかし考えてみてください。いつまで、大本営発表みたいに、完全に負けているのに、完全に負けてはいないと言っているのでしょうか?? 確かに、運の要素が絡んでくるこの試験、巡り合わせが悪ければどんなに実力があっても失敗します。それでも、不合格になれば、素直に、敗者であると認めてください。敗者であると自覚して、じゃ、来年に向けて、どのように立て直すのかということを真剣に考えてください。正直、2年目の12月発表時に全滅したときは、まじめに自分は敗者であると自覚して、あえて自分に厳しい目標を課しました。それは、正月1日を除き、休みを与えないという、「敗者に休みはない」宣言でした。それを、3年目の試験まで守り通しました。実力がどの程度上がったのかは知りませんが、少なくとも、本試験時に精神的な支えにはなったと思います。

 スランプを口にする輩も大嫌いです。私から言わせれば、スランプとは存在し得ない。私には、残念ながらスランプというものが存在しませんでした。すなわち、スランプを口にするということは、

成績が上がらないことの言い訳を、過去の努力に求めている

ということなんです。なぜ、私にはスランプが存在しなかったかと言えば、成績が上がらないのは、

成績を上げるための学習絶対量が足りない

のか、

その努力の方法が間違っていた

のか のいずれかだと考えていたからです。この両方共に大丈夫だと思うのであれば、どんなに成績に反映されなくても、やりなさいと言います。でも、たいてい、どちらかが欠けていることの方が多いです。
 もっとも、私は、あんまり普段の成績を気にしなかったです。成績が悪ければどう立て直すのかということを念頭に置いていました。そのくらいの楽な気持ちで十分なのでしょう。とにかく、無理ない計画、むらない実行でやってきたのならば、成績はあんまり考えなく、こつこつ最後までやってください。



5.最後に
 この試験、ホント、打たれ強く、コツコツとやってきた人が勝ちます。2年目、どの科目にも再び合格できなかったときには、私も、家の中の雰囲気も、税理士試験に合格することは無理なのではという空気になりましたよ。ただ、私には、もうこれしか残されていなかったので、とにかく、来年は合格するのだということだけを信じて、とにかく前に進もう、ただ、自分は敗者なのだという気持ちは忘れず、謙虚になっていようと思いました。その翌年、簿記・財表に合格したときは本当にうれしく、こんなお馬鹿さんでも合格科目を出せたということ、かなり自信になりました。
 1回1回の定例試験や各種答練の結果にクサらず、とにかく、8月に最高の結果を出すのだという気持ちさえ持ち続けておけば、何とかなります。しかも、試験は水物ですから・・・。

 正直、かなりの長期戦になることは間違いありません。自分の精神的な管理、モチベーションなどをどのように維持できるのかというのは大変に重要ですから、ここのサイトや、各種受験生の集まるサイトで、うっぷんをはき出すとかなり楽になります。我々の頃は、そういうことさえもできなかったです。

 一日も早く、税理士試験レースを雲の上で見ることのできる立場に、上り詰めてください。