今度、今勤めてる薬品メーカーのライバル会社に転職する事になった。
いくらライバル会社への転職といえ勤続20年もしてきたのに退職金半額とはひどすぎる


これは、競業阻止義務というやつじゃな
労働者が在職中はもちろんのこと退職後も一定期間同業のライバル会社に勤めないことは就業規則になくても信義上認められるのが判決もあります。
 ただその競業阻止義務はその必要性や本当にそれにより会社が不利益をこうむるかと言う具体的な事情がない場合は安易に認められるものではなく、禁止の内容が最小限の必要なものでない場合は認められないという判決が平成7年東京リーガルマインド事件、で下されています。
 またいくら同業他社への転職といえ、秘密保持のため3年間禁止する行為を認めなかった西部商事事件の判決もあります

  そもそも転職と言えば同じような業種に今までのスキルを利用して転職するパターンが多いだけにこの退職後まで干渉する制度は
その人の地位、仕事の性質やその期間など合理的でないと認められないのは職業選択の自由という憲法に抵触しない意味でも重要です

でも退職金というのは、賃金の後払い的性格もあり就業規則などで定めのある場合支払わないと賃金全額払いの原則(労基24条)とも抵触するところですよね
 ただ懲戒解雇などの場合退職金を不支給にするのを違法としてない判決からもこの場合ライバル会社への転職がそれぐらい
重要な退職金減額要素たるかどうかがポイントになります。

退職金を自己都合の半額にすることも功労報償的な性格からすると不合理でないと言う判決が三晃社事件で昭和52年に下されております。

法律の考え方としては、ライバル会社に転職を禁ずると言う職業選択の自由を奪うものより、退職金の減額と言う形はとるものの転職を認める形にするほうが合理的と考えたのかもしれません。



 高度な専門的知識、技術、経験を有するものや60歳以上のものの場合の有期雇用契約は、5年まで認めてます。

 この有期労働契約をしたならば、原則としてその期間は双方契約の解約はできません。
よって民法の規定により雇用の契約期間内であってもやむを得ない事情があれば契約解除でき、この場合一方の過失による場合は損害賠償責任が生じるとあります。

 ただし労働基準法137条により契約期間が1年を越える有期労働契約についてはいつでも退職できるという規定がありますので
結局1年以内の退職による損害賠償しか請求できないことになります。


 その損害賠償というのもなかなか判断が難しい


労働基準法第16条に使用者は労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償を予定する契約をしてはならないとありますね。
これは金額を予定することを禁止しているのであり、現実に生じた損害で相当因果関係のある損害賠償については請求可能でしょう。

ただし、採用にかかった費用とか関連研修費用などは、この場合の損害賠償対象になりません。